プロジェクトストーリー

発展する金沢副都心北部直江地区
~金沢副都心のまちなみをつくる~

石川県自動車会館新築工事

金沢市都心部から北に約5キロ、同市の副都心機能の一部を担う直江地区では、
金沢外環状道路(海側環状)に沿ってさまざまな業務施設、商業施設の立地が進んでいる。
新たな街の風景が生まれる一画に、2018(平成30)年3月に姿を現したのが、「石川県自動車会館」である。
八田 武
平成22(2010)年入社
石川県出身/建築学科卒

図面と、人と、
自然に向き合う仕事

急ピッチで開発が進む金沢市副都心北部直江土地区画整理事業施行地区。当社は金沢市入江から同地区に移転した「石川県自動車会館」の施工を担当した。発注者は自動車整備事業を営む事業者を主な会員とし、道路運送車両法に基づき設立されている一般社団法人石川県自動車整備振興会。自動車会館は自動車の点検整備の機能を持つ拠点となる。

新築工事は、2017(平成29)年6月19日に地鎮祭が執り行われた後、スタートした。
施工管理を担当した八田武は、「夏はゲリラ豪雨に悩まされ、冬は平成に入って2番目の大雪に泣かされました」と約9か月の工期を振り返る。
設計図に基づき、施工図面を起こすのが建築施工管理の主要な仕事だ。工事をスムーズに進めるため「これまでの経験を活かし、誰が見ても分かるよう細かな情報まで盛り込んだ施工図の作成を心がけている」という八田だが、自然が相手となると思い通りにいかないこともある。特に竣工間近の大雪の際は、どんな作業をするにもまず除雪が欠かせず、工期の調整に苦労した。

図面だけでなく、人とも向き合う仕事である。設計会社をはじめ、電気、空調、衛生設備など、多種多様な設備業者とのやりとりが欠かせない。もともと人と話すことは得意ではなかったという八田だが、当社に入社してキャリアを積む中で「現場に出て、いろんな業種の人と話すことが楽しくなった」という。そこで生まれた信頼関係やネットワークが次の仕事に生きてくるとの実感もある。

自分の手を離れた建築物が
「使われる」ということ

自動車会館は予定通り2018(平成30)年3月に竣工した。敷地面積は4119.47平方メートル。建設規模は事務所棟が鉄骨造2階建て、予備検査場が鉄骨造平屋建て、油脂庫が鉄筋コンクリート造平屋建てとなっており、全体の延べ床面積は2788.79平方メートル(建築面積1684.00平方メートル)。同年4月に引き渡しとなった。

真新しい建物の前に立つ八田は「事故やトラブルなく、無事工事が終了してほっとしている」と笑顔を見せる。

「地図に残るということもありますが、建築の仕事の醍醐味は、私たちの手を離れてからさまざまな人に使われることだと思っています。以前、保育園の新築工事を担当した際、完成したばかりの園舎で子どもたちが嬉しそうに飛んだり跳ねたり走り回ったりする様子を直接見る機会があり、『人に使ってもらえる建築物っていいな』としみじみ感じたんです。今回の自動車会館であれば、自動車がずらりと並んで点検が行われる場面を想像しますね」

人が良いから、人が育つ

好きな建築の仕事ができることはもちろん、努力やスキルに見合う評価が得られる環境を求めて当社に転職した八田は、「自分の力を発揮して気持ちよく仕事ができる雰囲気があり、飲みに行ったりゴルフに行ったりとオフの付き合いも自然に楽しめる。人に恵まれている職場だと思います」と満足げに話す。

昨年は、目標としていた一級建築施工管理士の資格を取得。「男女関係なく、平等に接すること」を心がけながら、後輩技術者の指導にもあたっている。
仕事の面での今後の夢や目標を聞くと、「会社の事業としてできるかどうかは分かりませんが、個人的には古民家のリノベーションに興味があります。チャンスがあればぜひ仕事にしたいですね」という答えが返ってきた。

街づくり、そして街の活力づくりと直結する建築の可能性は、大きく広がっている。