プロジェクトストーリー

躍進する金沢の交通ネットワークを整備
~金沢東部環状道路 4車線化プロジェクト~

01

H28金沢東環 神谷内舗装工事

02

H28・29金沢東環 神谷内トンネル舗装工事

金沢城を中心とする放射状の道路網が都市の骨格を担っている金沢。
城下町特有の都市構造はまちの大きな魅力だが、一方で都心部では慢性的な交通渋滞に悩まされている。
こうした問題を解決するために整備が進んでいるのが、金沢外環状道路である。
2006(平成18)年4月には山側環状が暫定2車線で開通した。
松栄 仁志
平成21(2009)年入社
石川県出身/土木学科卒

森 俊輔
平成23(2011)年入社
石川県出身/土木学科卒

金沢東環・神谷内~東長江間を
4車線化へ

石川県金沢市今町~鈴見間を結ぶ延長9.4kmの金沢東部環状道路(金沢東環)は、山側環状の一部を構成し、北陸自動車道やのと里山海道へとつながる幹線道路だ。2006(平成18)年4月の開通以来、市民や観光客に利用されてきたが、近年は東長江付近で朝の通勤時を中心に渋滞が発生することが問題となっていた。こうしたことから国土交通省金沢河川国道事務所では、金沢東環の4車線化事業を進めている。
当社は、神谷内IC周辺に新設される道路を舗装する「H28金沢東環 神谷内舗装工事」と、新たに貫通した神谷内トンネル内を舗装する「H 28・29金沢東環 神谷内トンネル舗装工事」の2つの工事を通じ、神谷内~東長江間(延長1.8km)の4車線化プロジェクトの一端を担った。

神谷内舗装工事は、2017(平成29)年3月31日にスタートした。
「初めて現場を訪れた際は、雑草が生い茂った状態。ここに道路が通ることを想像することすら難しかったですね」と、現場代理人を務めた森俊輔は振り返る。

この年はゲリラ豪雨が多発し、やむを得ず工事を中止する日もあった。
「道路を夜間通行止めにする予定が、当日大雨のため工事ができず、その後の工程が大きく変わりました。どれだけ技術が進歩しても、建設業は天候に左右される仕事だと痛感しました」(森)

神谷内トンネル舗装工事は、神谷内舗装工事に1日遅れてスタートした。現場代理人を務めた松栄仁志は、「この工事区間では、当社を含め関連業者が多いときで12社出入りしました。こうなると工程のやりくりが非常に難しいんです。週1回の工程会議で決めきれない部分は担当者同士で直接やり取りし、譲れるところは譲り、譲れないところも何とか調整して、工期を守りました」と苦労話を明かす。

発注者に要求された品質の工事を決められた工期で完成させるため、作業員に指示を出したり、施工計画を立てたり、施工状況を確認したりするのが、現場代理人、いわゆる施工管理の仕事だ。
公共工事は発注者から支給されるシナリオ通りに進むもの、と思われがちだが、実はシナリオをつくるのは施工管理を行う人間だ。工事の進捗に伴いシナリオを書き換える必要も出てくる。それがこの仕事の難しさであり、技術職としての腕の見せ所でもある。

「達成感」から「安堵感」へ

金沢東環・神谷内~東長江間は、2017(平成29)年12月9日に4車線化開通した。沿線の渋滞が緩和され地域住民の利便性が向上するとともに、北陸新幹線開業を受け増加している金沢の交流人口のさらなる拡大が期待される。
周辺の風景を大きく変え、地域の交通インフラをさらに充実させた一連の工事。現場代理人を務めた2人に竣工後の気持ちをたずねると、「一番は安堵感」と口を揃える。

「新人の頃は、ひとつの現場が終わるたびに大きな達成感がありました。それは今考えると、先輩に言われたことを無我夢中でやっていたから。自分自身が責任ある立場になった今は、 『無事終わって良かった』という安堵感の方が大きいですね」 (松栄)

「今回の工事は、規模も内容もこれまでにないもので、技術力はもちろん、体力も忍耐力もつきました。今後に活かせる貴重な経験ができたと思います」(森)

当社では、上司や先輩の存在が近く、人と人のつながりが温かい職場環境が、技術者の成長を後押ししている。若いうちから一人で現場を任されることもあるが、周囲に何でも聞け、自然に支えてもらえる場がある。今回、両工事に女性スタッフが1名ずつ参加しているように、女性技術者の活躍への期待も大きい。

道を通じて
「つながり」を感じる仕事

松栄と森の両名が同調するのは、「地域の人に喜ばれる仕事をしたい。公共事業の大切さを分かってもらえるような仕事をしたい」ということだ。

「以前、能美市の陸上競技場の舗装に携わったのですが、そこをメインに練習していた地元出身の競歩の選手が、ある大会で日本記録を更新したんです。僕が直接何かしたということはないのですが(笑)、誇りに思えましたね」(松栄)

「当社は、大規模な幹線道路の工事だけでなく、住宅街の生活道路の改修など小規模な工事も行っています。地域の方が『いつ開通するの?』と楽しみにしてくれたり、完成後に『きれいになった』と声をかけてくれたり。小さな工事には地元密着のやりがいがあるんです」(森)。

道は必ず、誰かと、つながっている。